井上順さんの歌
《お世話になりました》
明日の朝この街を ぼくは出てゆくのです
下宿のおばさんよ お世話になりました
あなたのやさしさを ぼくは忘れないでしょう
元気でいて下さい お世話になりました
(お世話になりました)
男なら夢を見るいつも遠いとこを
煙草屋のおばあちゃん お世話になりました
お金がない時もあとでいいと言って
ハイライトをくれた お世話になりました
新しい生き方を ぼくは見つけてみたい
おそば屋のおじさんよ お世話になりました
将棋のにくい敵五分と五分のままが
くやしいぼくだけど お世話になりました
何にもかも忘られないよ お世話になりました
誰もかも忘られないよ お世話になりました
何にもかも忘られないよ お世話になりました
誰もかも忘られないよ お世話になりました
18才で上京して以来の50年近くの付き合いです
下宿のおじさんも亡くなりました
長男も残念ながら亡くなりました
大変、思い出深い二人でした
東京のオヤジ、東京の弟と思っていました
おばさんの安否がいつも気になります
東京での仕事のついでに訪ねて来ました
娘の智ちゃんが少し離れたところに住んでいます
電話したら、実家に帰って熊さんを待っていると言ってくれました
お昼を用意して待っているとのことで、
遠慮なくご馳走になりました
おばさんの娘にしては、本当に料理がうまい!
冗談を言いながらつもる昔話に花が咲きました
熊さんが居た頃の時代の下宿が一番楽しかったといつも言ってくれます
逆に一番面倒をかけたと思います
映画になるほどのたくさんのドラマがありました
2階が下宿で大家さんが一階でした
正規の下宿人は、5人ですが、
いつも居候が3〜4人いました
その居候達も大きな顔をして大家さんと
自由に付き合っていました
居候の話題も尽きません
そうそう、あいつは一度も正規の住民には
なっていなかったんですよ
365日鍵がかかっていない私の部屋の
居候の出入りが一番多かったようです
智ちゃんが小学校の1〜2年の頃です
その後しばらくして、
下宿屋はやめたそうです
でも、いつまでも下宿屋のおばさんです
いつまでも元気でいてくださいと
別れて来ました